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A子さんの恋人 モラトリアムの終わりに

物語

半額セールで全巻買ったA子さんの恋人を一気に読んで、久々に物語の世界に没入でき楽しめたので、その余韻が残っているうちに感想を残しておきたい。

物語の大枠は、前恋人A太郎と今恋人A君の間で揺れる美大出身の漫画家のA子さんと、その友人達のモラトリアムの終わりの期間を描いた群像ストーリーだ。美大出身漫画といえばハチクロを思い出すが、あれほどキラキラとしておらず、主要人物はみなもう少し内省的で大人だ。

何がよかったのか?

  • 序盤のA子さんとその友人達が織り成すモラトリアムの雰囲気を楽しむ。こんな人身近にもいるな、的なキャラの納得感。
  • 中盤のキャラが立った後の関係性の盛り上がり。(あいこの乱、最高)
  • 終盤のストーリーの伏線の綺麗さと結末へ向かう緊迫感(めぞん一刻のラストを思い出した)、終わっていく物語の解放感、悲しさ、寂しさ。。。

一回目はストーリーの続きが気になりだして止めることが出来ず、一気に一巻から七巻まで読んでしまった。至福の時間。

ILOVEYOUの言葉の解釈はとても素敵だなと思ったし、翻訳が伏線となっているのは上手いなと。

二回目はA太郎の物語として読んだ。飄々と明るく、だれからもモテ、A子さんを知ることで、モラトリアムの檻に捕らわれたA太郎。きみは変わらないという、先生の呪いの言葉。身軽でいたいということと、あなたの特別でありたいというアンビバレンツな感情。社会にでて才能を発揮する=泳ぐという表現。淡々と泳ぐA子と、泳ぐ気のない、一緒に泳げなかった自分。最後に、救ってくれた相手を救うために、自分ができる最善のこと。終わった後、空港のテラスに残された英子のカップ。。U子の涙。かわいそうじゃないけど、悲しいの。切ない。。。。失うという行為を選択することで、モラトリアムの季節は終わる。A太郎に後悔はなく、これからも周りの人を魅了しながら、飄々と自分の人生を生きていくのだと思う。

君みたいな人がさ、ああいう感じの子が好きなのは、わからないでもないけど、あの子と一緒にいても、君は変わらないと思うよ。

あなたは私の特別な人だから

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