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虚構の物語の力(ユヴァル・ノア・ハラリ)

物語

はじめに

ユヴァル・ノア・ハラリは、イスラエルの歴史学者です。一番有名な著作は人類の歴史を超マクロ的に描いたサピエンス全史です。彼の本を読むのが最近のマイブームなのですが、アウトプットを兼ねて紹介してみたいと思います。

人類が繁栄した理由

約7万年前~約3万年前、認知革命により、人類は虚構(架空の事物)を語る能力を獲得した。それにより、厖大な数の見知らぬ人同士も、共通の神話(神、国家、法人、お金、人権etc)を信じることによって首尾良く協力できるようになった。その結果、協力するという能力において、他のあらゆる人類種や動物種を大きく引き離し、世界を制覇することができた、というのがハラリの主張の核です。大抵の人は、現実を重視し、フィクションを下に見がちですが、虚構こそが人類の社会を成立させているという見方は新鮮で、現実世界を解釈する上で新しい観点を与えてくれる、希少な本です。「サピンエス全史」は四部に分かれていますが、忙しい人は第一部の認知革命のだけでも読めばよいと思います。

意味 人生は物語ではない

もう一つ彼の著作の中で面白いとおもった考え方。それは「21レッスン」の第20章です。

私たちは人生の意味を探し求めるときには、現実とはいったいどういうものかや、宇宙のドラマの中で自分がどんな役割を果たすのかを説明してくれる物語を欲しがる。その役割のおかげで、私は何か自分よりも大きいもの一部となり、自分の経験や選択のいっさいに意味が与えられる。

物語は二つの条件を満たすことさえできれば人生に意味を与えることができるといいます。第一に私に役割を与えること第二に、優れた物語は無限の彼方まで続く必要がないが、私の地平の外まで続いていること、です。そしてそのような物語の例としてディズニーのライオンキングの「命の輪」や、キリスト教などの宗教、ナショナリズム、ファシズム、そして自由主義や自由意志まで挙げています。人は何故そうした虚構の物語を信じるのでしょうか?それは個人のアイデンティが物語の上に築かれているからだけでなく、自分たちが所属する集団や制度や機関も物語の上で築かれているからです。まさに虚構の物語の力、ここでサピエンス全史の認知革命に繋がります。かれは、「自己」すらも私たちの心の複雑なメカニズムが絶えず作り出し、アップデートし、書き直す、虚構の物語だと主張します。最終的に彼は、人生には何の意味もなく、人々はどんな意味も生み出す必要がない、という仏陀の思想にたどり着くのです。

人類が直面している大きな疑問は、「人生の意味は何か?」ではなく、「どうやって苦しみから逃れるのか?」だ。虚構の物語をすべて捨て去ったときには、以前と比べ物にならないほどはっきりと現実を観察することができ、自分とこの世界の真実を本当に知ったなら、人は何があっても惨めになることはない。

正直ここら辺から、自分はハラリの主張についていけなくなりました。彼の知的な論旨の展開はとても論理的でわかりすく面白いのですが、彼のいう世界の真実の一端を知った、とはなりませんでした。。。虚構を捨て去るということは本当にできるのか?世界と自分の認識の間には、目や耳の器官があり、ある意味自分の器官が解釈した虚構の世界、そもそも言語が虚構、僕らは虚構を通してしか現実を認識できないのでは…?マトリクスの世界ですね。

おわりに

自分にとっては久しぶりに知的興奮と発見を味わえた著作です。リチャードドーキンスの「利己的な遺伝子」を読んだとき以来かも。。。世界の秘密とは、、、ステップだけ、置いてきちゃってよ、vaundyですね。興味を持たれた方は是非読んで見てください。

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